いつ移住されたんですか?
(幸司さん)ちょうど移住交流サポートセンターが白川町にできた2015年です。元々は岐阜県瑞浪市に住んでいました。
Kimoto family
「偶然、移住したこの土地で得ることができた新しい価値観や豊かさ。 この7年間の変化に私たちも驚いています(笑)」 木元さんご夫婦に、移住生活を振り返っていただきました。
(幸司さん)ちょうど移住交流サポートセンターが白川町にできた2015年です。元々は岐阜県瑞浪市に住んでいました。
(幸司さん)私たちの場合は、仕事の都合での移住だったので職場の近くに引っ越すんだねという反応でした。
前の職場では18年ほど勤めていたのですが、体力仕事だったことや忙しくもあったので、年齢を重ねていった時にこのまま続けられるかな?という心配がありました。そんな時に転職のお話を頂いてその職場が白川町にある現在の会社だったんです。
(永里子さん)はい。移住前は私もフルタイムで働いていて、二人の生活時間がなかなか合わなかったことや、主人の体力的にも以前の職場で働き続けるのは大変そうだなと感じていた時に、知人から転職のお話を頂きました。主人にもこの話をしたら、一度会社を訪問してみようということになり今の職場の社長と白川でお会いし、戻ってきた時には、主人の気持ちはもうほぼ決まっているという感じでした(笑)
(幸司さん)そんなわけで、たまたま私たちの場合は仕事がきっかけだったので、移住者が集まる交流会に参加してお話をした時、皆さん、目的意識を持って来られている方々が多かったので、おぉ〜という感じでした(笑)
(幸司さん)思っていた以上にご近所の皆さんと関わる機会が多いなと感じました。神社の行事だったり、自治会の役が回ってきたり。5月になるとお茶刈り作業のお手伝い、8月あたりだと鮎かけのお誘いをいただいたり。以前は賃貸に住んでいてその頃はお隣さんと挨拶をする程度のお付き合いでした。白川に来てから皆さんとお酒を飲む機会も多かったので、最初の頃はお付き合いの多さにびっくりしました。
(永里子さん)最初は誰も知らない土地で暮らすことにとても不安を感じていました。そんな中、移住した年に当元・当頭の役(神社のお仕事)が回ってきて。えーー!何もわからないのにどうしよう!!顔を合わせる方々もどこのどなたかわからない!!という感じであたふたしていましたが、前向きに行事などに参加することで自分を知っていただく機会も増え、皆さんとの交流も増えました。初めの頃は皆さんにいろんなことを聞かれて自分のことを話すのが恥ずかしいような戸惑うような気持ちにもなりましたが、今となってはそんなこともあったなという感じです。
あと、皆さん苗字がほどんど一緒で(笑)。目上の方を下のお名前で呼ぶ習慣がなかったので新鮮でした。
(幸司さん)疲れるということはなかったです。最初は人同士の距離感が近いなと思うこともありましたが、一つ一つ関わりを持つことで、田舎で暮らすということはこういうことなんだなと理解をしていった感じです。
どのコミュニティにでも同じことが言えるとは思いますが、いろんな考えをもった方々で構成されていると思います。お互いの人となりを知り理解する中で自分も距離が近づいていったように感じます。
(永里子さん)お野菜をたくさんいただけることが最初はびっくりで、そして今でもありがたく嬉しいことです。採れたて新鮮なので美味しくて長持ちもするような気がします。
あとは自分では作らない漬物や朴葉寿司やお惣菜、干し柿などもお裾分けいただけてそれがまた美味しくて。大袈裟ですが、私の食文化の幅が広がりました(笑)
その他で言うと地域の情報網が生活や仕事を支えてくれているかもしれません。生活する上で知っていないといけないこと、または知っていた方がいいことを教えてもらっていることが多いです。
(幸司さん)お茶刈りもそうですが、とにかく草刈りに追われるという日々を新たに経験しています。移住前も草刈りをしたことはありましたが、今ほど頻繁に広い敷地を刈ったことはなかったですね。夏前から冬前までは、のんびりぼーっとと過ごすと言うよりは、地域の行事やお茶刈りのお手伝い、草刈りでなんだかんだやることは多いですね。
あとは人生で初めて横笛を吹きました(笑)毎年開催される春のお祭りで笛を吹く役割をいただきまして・・・。お祭り前になると夜集まって練習をするのですが、楽譜があるわけではなく、過去のビデオを見ての練習なので大変です。4年くらいやらせてもらいましたが、なかなか上手くはならないですね。本番は5人くらい集まって演奏するのでなんとかなりましたが(笑)
地域の方が夜や休みの日に何かしらの用事で集まるとお酒を飲む流れになったりするのですが、笛の稽古の時も、少し練習したらとりあえず飲もうか!と(笑)ただ、そこでの会話の中で得られたものは多かったと思います。
(永里子さん)お味噌作りです。冬の時期だけなのですが、近くの味噌工房でお仕事をしています。移住してすぐにご近所の方から声をかけていただきました。
あと、最初は畑も作ってみましたが、人生で初めてできたかぼちゃを猿に盗られてしまって・・・(笑)猿や猪、鹿などに作物を荒らされてしまうのがご近所さんとの会話でもよく話題になります。あとは草刈り。主人に教わりながら草刈機を使い始めました。
(永里子さん)移住前は私もフルタイムで働いていたので、今との状況が大きく違い、単純に比較をすることは難しいですが、金額的に言えば減っています。
ただ、気持ちの部分では質が上がっているように思います。いろんな経験・出会いの中で生まれる価値は本当に増えていることを実感します。これまでに出会わなかった人やその土地の風土を感じ、新しい生き方や生活の仕方などを知ることは経験として貴重だと思います。地元の方からもちろんですが、自分の生活スタイルとは異なるバックグラウンドでこれまで生きてこられた移住者の方々との交流からも、たくさんの刺激をいただいています。
都会にいるとそもそも興味を持たなかったり、お金を払って経験するようなことを、日々の暮らしの中で経験できているような。
もちろん、便利かどうかでいうと不便なことも多いですが、気持ちの面では生活のクオリティーが向上し楽しめていると思います。
(幸司さん)実際に現職の木材加工の会社に入って知ったのは、とにかく若い働き手がいないということです。
その理由として業種が偏って見えたり、都心部と比べて待遇面が良くないイメージがあるのでしょうか?
私がいる木工と言う業界も、商品や技術自体が安く買われているのが現状です。安いから給料を上げられなかったり、海外の人材やリソースに頼らざるを得なっています。
商品価値をきちんとお客様にお伝えして、見合う対価をいただき、働く人がきちんと報酬をもらえたらと思っています。
私は今の会社で雇用側としての役割を担っているので、地元の若い子を迎えられる・若い世代にも選んでもらえる仕事にしていきたい!と実際に白川で働く中で感じています。
(幸司さん)空気が美味しい、星がきれい、季節を感じられる、水がきれい、ほとんどエアコンを使わず過ごせる(ここ数年、夏場に暑い日もありますが)ところは魅力ですね。
田舎暮らし=スローライフというイメージがあると思いますが、田舎暮らしならではのやらなくてはならない作業もたくさんあります。
時間に追われないわけではないな〜と思う時も。ただ、今日はもうやらない!と決めればのんびりできちゃいますね(笑)そんな時間を過ごすには、とても環境がよく心地良いです。
ちなみに私の最近の癒しは、七輪でちょっとしたものを炙って酒のつまみにすることかな(笑)
(永里子さん)主人の仕事がきっかけで移住をしたので、憧れはあったものの、これといって大きな目的もなく田舎暮らしが始まりましたが、新しい経験、人との出会い、その中であたらしい価値観を得ることができました。
今思えば不安の中でも勇気を出して自ら一歩踏み出し、地域の中に入っていったということが大きかったように思います。
決していいことばかりではなく悩んだりしたこともありましたが、まずは試してみて、違えばやめて他のことを試す。自分を知ってもらい相手のことも知る。
その小さな一歩の積み重ねが、白川での暮らしを豊かにしてくれているのではないかなと思っています。