移住をされて五段農園を経営されていますが、内容についてお教えいただけますか?
事業としては3本の柱があります。
・有機栽培野菜、野菜ボックスの生産/販売
・堆肥、培養土の生産/販売
・農薬化学肥料を一切使用しない野菜の苗の生産・販売 になります。
春は苗、冬は培養土、春夏秋は野菜と堆肥を作っているという感じですね。
yuichiro Takaya
環境になるべく負担をかけない農業を心がける五段農園を立ち上げ、野菜ボックスの宅配から、高品質な堆肥・土づくり、ポッドキャストの配信をするなど幅広く活動されている高谷さん。 高谷さんから移住に関するエピソードをお伺いしました。
事業としては3本の柱があります。
・有機栽培野菜、野菜ボックスの生産/販売
・堆肥、培養土の生産/販売
・農薬化学肥料を一切使用しない野菜の苗の生産・販売 になります。
春は苗、冬は培養土、春夏秋は野菜と堆肥を作っているという感じですね。
特に何がメインだと言うことはなく、それぞれの仕事には季節性があります。白川町は冬が寒くて野菜を作れる期間は実は一年のうち半年しか無いんです。残りの半年を何するかを考えたら、野菜のための土(堆肥)づくりだと思いまして。野菜のポテンシャルを引き出す環境=土を作ることが食を支える事なので、土作りももちろん農の一環であり重要な役割だと考えています。そして、良い土ができればいい苗も、という事で必然的にこの土(堆肥)で野菜の苗も作らせてもらっています。
白川町黒川は土(堆肥)づくりにも適した地域ですか?
当初は有機農業だけをやるつもりで移住したんですが、堆肥をつくるとなった場合、環境的には町の方でやると考えたら、作る過程で臭いが出るという問題があります。白川町は自然豊かな地域なので臭いの問題もクリアできますし、何より堆肥の材料集めがしやすいという面でも適した地域だと思います。
収益性はゼロで趣味として楽しんでやってるって感じですね。もう2-3年後に事業として成り立ってたら嬉しいですが。(笑)ポッドキャストについては、定期的に収録するとは決まっておらず、良いゲストが見つかった時にオンライン会議ソフトのZoomを使ってインタビューをし、その後自分で編集してって感じですね。もちろん昼は農家やってますので農家仕事が終わった夜の活動です。インタビューするお相手も農家の方が多いので、夜9時から11時までZoomでお話をしたものを録画して、そこから1週間くらい編集を繰り返して番組になるって感じですね。インタビューさせてもらった方から、さらに面白いお友達がいるということでご紹介いただき、どんどん繋がりが広がっていくのがとても楽しいです。たまにはこちらからインタビュー相手を探そうと、ツイッター等で面白いと思った方に連絡を取ったりしています。そんな時、向こうの方から「ポッドキャスト聞いてます」とか言われた時、ホントですか?って嬉しくなっちゃいますね。本当に趣味の要素が大きくて。(笑)もう丸3年位やってますけど、リスナーさんが増えてきてありがたい限りですね。ポッドキャストを配信してみて気づいたんですが、リスナーさんも農業系の方が多くて、昼間農作業してる時にラジオ代わりに楽しんでもらってるみたいです。取り上げている題材も有機農業という当時はニッチな話題で、その当時はそんな番組どこにも無かったので逆に面白いなと。今となっては意外にも盛り上がってますね。番組のロゴなどもリスナーの方のお知り合いに書いてもらいました。
生まれは秋田で、横浜で就職しました。仕事は野菜の種の会社です。移住したのはここ白川町が初めてですね。大学も農学部で、前職も農業関係だったので職業は農にかかわることがやりたいと思ってました。
有機農業をしたいから、という理由ではなく岐阜で田舎暮らしをしたかったから、白川町を選んだ形ですね。田舎に住むのであれば生業として有機農業をやりたい。結果的には有機農業が盛んな白川町を移住先として選びました。
名古屋で開催されているオーガニックマルシェに参加した時。主催者の吉野さんから移住するなら白川町がおすすめだよと声をかけてもらいました。ただ、白川町以外にも岐阜県内で何か所か移住先候補を見学しています。その中の一つとして、白川町に来たとき、コンビニのない町だなっていうのが印象的で。どうせ住むなら中途半端な所じゃなくて、しっかり田舎って所がいいなと。ここから最寄りのコンビニは40分ということで。ちゃんとした田舎に満足しています。(笑)
有機ハートネットというNPO法人さんのご紹介でお借りしました。農地については自治会の方から紹介いただいてお借りしています。この家については、たまたま白川町に移住しようと動き始めた時、ちょうど貸しに出すというタイミングがあり借りることができました。この地区は奥新田というんですが、黒川地域の中でも比較的奥深い地区で住むのに大丈夫かなと思ってたんですが、見てみたら家がすごく良かったんですね。大きくてすごく綺麗に管理されていて。なによりここから眺める風景がとても良かったんです。
ひと目ですごく気に入ってしまって、トントン拍子に進みましたね。同じタイミングで農地も貸していただけるなど本当に順調に事が運んで、まさにわたりに船という感じでした。
うーん・・・ありません、では駄目でしょうか。(笑)
景色的に少しだけ不満なのは、山が単層林なのが寂しいかなってくらいですかね。杉ヒノキの植林が多いんですが、もっと多くの木が生えている山ならいいかなと。山が豊かならそこから流れ込む水もミネラルが豊かになりますし、生物が生きる環境としては良いですよね。
人間が生活するには確かに少しは不便かもしれないです。夏でも窓を締めないと朝方など寒いくらい。そんな寒暖差があるからここで出来る野菜は美味しいなと感じます。
最初に来たときに班の方に言われたのは「ここは何も無いけど、四季はあるぞと」なんか贅沢で良いですよね。豊かな自然の中で移りゆく季節を楽しみながら暮らせるなんて。春は山菜が取れたり、夏はホタルが居て、秋は栗とかも取れたり、豊かな環境です。
農業的な大変さというと、移住してすぐは野菜がうまく作付けできなかったのが少し辛かったかも知れません。もともとこの辺りは全部田んぼで、そこを畑に変えるっていうのが最初苦労した事です。少し雨が降ると水が溜まってしまう。それが野菜には良くなくて、苦労しながら色々と対応していきましたね。
ネットショップで頼んだらこんな田舎でも翌日に届いちゃうんですよね。Amazonはすごい。(笑)
生鮮食品については、野菜が採れるのであまり買うことは無いですね。近所ではお肉も買えますし。不便がない。買い物のために遠出をするって事もあまりないですね。また不満なしです。(笑)
敢えて言うなら一つだけ、移住前から覚悟しましたが子供の通学は少し不便かも。子どもが恵那の高校に進学したのですが、車での送迎が必要なんですよね。毎日片道40分、車で妻が送迎してるんですよね。1日160分くらいは車で送迎しています。
でもそれが全く不便ということはなく、家族で会話をするかけがえのない時間であると感じる時もあります。
野菜を食べて美味しいとか、感想は言ってくれますが、農作業はあまり興味ないように感じますね。(笑)家業の手伝いとして、たまには畑で手伝ってもらったりはしますが。
野菜については色々と食べさせているので舌が肥えているというか、味の良し悪しがわかるようにはなりましたね。白川の美味しい野菜に慣れてしまった。(笑)
娘が小学校3年の時に移住したので、大きな環境の変化を感じたと思いますが、結果うまくなじんでくれたと思います。田舎で良かったなと本人も言ってますね。
学級も人数が12人くらいで皆すごく仲がいいし、先生の目も良く届いている。少人数の教育はむしろありがたかったですね。
移住に求めることも人により様々だと思いますが、個人的には思い立ったら移住でも良いのではと思っています。
石橋を叩いて渡る…ではなかなか移住の決断ができません。まず決断して移住する。全くの無計画では難しいですけどね。
移住した後の地域の方との交流はすごく大事です。自治会に参加するとかは当たり前で、地域の皆さんとはしっかりと目をみてお話するのが意外に大事だったりするかも知れません。
移住してすぐに消防団にも入りました。どうなる事かと心配していましたが、普段接することの出来ない方との交流やご縁ができたりするのは良かったです。そこで農場の建物を作っていただく大工さんにも知り合えました。
人が少ない地域ですが、だからこそ人の縁の重要さを感じます。